鳥栖U-18DF永田倖大選手の記事から(一部抜粋)
クラブユース選手権決勝。
名古屋グランパスU-18と対峙した一戦は、
いきなり開始早々に先制を許すと、
13分にその瞬間がやってくる。
最終ラインでのビルドアップ。
永田が何気なくゴールキーパーに返したバックパスは短い。
かっさらった相手選手の放ったループシュートが、
ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれる。
結局前半だけで3失点を喫し、ファイナルスコアは1-3。
全国制覇にはあと一歩及ばなかった。
「その瞬間は頭が真っ白になって、
『とんでもないことをしてしまったな』と…」
とそのシーンを振り返りながら、
今では解決策もしっかり理解している。
「先にプレスを掛けに来ている選手を見ておけば、
相手も来づらくなったはずなので、
そこで“見る”ということをやれば良かったかなと思います。」
苦い体験を経て、“見る”というフレーズは、
自分のキーワードになった。
「マンチェスター・シティやリバプールとか、
いろいろな海外サッカーのビルドアップの仕方を見たり、
『どうやって相手を崩すのか』を意識して、
ノートに書いて覚えています」。
「あれから“見る”ということを意識しているので、
昔より相手を見ることはできるようになったと思います。
まだまだ足元に関しては頼りない所があるんですけど、
いろいろな意識を採り入れつつ、
自分の中ではもう少しでもっと上手くビルドアップも
できそうかなという感覚はあります。」
日本一の懸かる試合で味わった悔しい経験は、
改めて、自分を研ぎ澄まさなくてはいけない
という気付きを与えてくれた。
個人的には、同じ試合の中で見せたもう1つのプレーが
印象に強く残っている。
自身のミスもあって3点を奪われた名古屋戦の後半。
相手フォワードが粘り強く放ったシュートが
ゴールキーパーを破って枠へ向かうと、
懸命に戻ってきた永田はほとんどゴールライン上で
ボールを掻き出す。本人もその場面は覚えているという。
「そのままじゃチームに迷惑を掛けてしまうので、
『もうあのミスは忘れよう』と思って気持ちを
切り替えました。
あのミスに関しては後で悔しがろうと。
あそこで掻き出さなかったら、
あの失点から何も学ばなかったことになってしまいますし、
『チームのために何か残してやろう』
という気持ちで掻き出しました。」
あの1本のクリアには、彼が明かした想いが
間違いなく反映されていたように記憶している。
執筆者:土屋雅史 20/8/4 07:00 ゲキサカ
大舞台で知った“見る”ことの大切さ。鳥栖U-18DF永田倖大が手にしつつある新たな感覚
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